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いまさら聞けないシリーズ!経営・経済の基礎 第7回 世界情勢の基礎【株式会社あえるば取締役会長 藤原 直哉】

世界地図や地球儀を見ながら、地球全体のスケールを感じてみましょう!
世界は大きな変化の中にあり、その中で日本が果たすべき役割も見えてきます。



異なる国々には、それぞれ独自の生き方や住みやすい環境があります。そうした違いについて改めて考えてみましょう。これまでのように、世界を一つのルールで動かそうとする考え方は、時代遅れになりつつあります。例えば、物価の高低だけでは世界を理解することはできません。経済はそんな単純な視点で動いていません。今後は、各国の歴史や風土を踏まえた視点で世界を見ることが重要になってきます。
 
世界には、大きく分けて2つのタイプの民族が存在します。それは、海を拠点とする民族と、陸を拠点とする民族です。広大な太平洋や南半球に住む人々もいれば、ユーラシア大陸で歴史を形作ってきた、陸を拠点とするモンゴルのような民族もいます。チンギス・ハーンが築いたモンゴル帝国のように、陸上で勢力を広げた例もあります。ユーラシア大陸の歴史は、資源や土地をめぐる陸上の争いが繰り返されてきました。
 
海洋戦略において優位に立ってきたのは、イギリスやアメリカです。彼らは海においても、陸と同じように重要な通過点を押さえてきました。港や航路を支配することが、海上貿易で優位に立つための鍵でした。では、陸上と海上の違いは何でしょうか?大陸を越えて仕事をする人々にとって、自由貿易は非常に重要です。植民地経済が生まれ、世界の航空路を見れば、どの地域で人々が活発に動いているかが一目でわかります。また、通信や保険の中心であったイギリスの知恵も、国際貿易の発展に大きく貢献しました。これにより、荷物を安全に運ぶための仕組みや、民間や国家間での金融決済の基盤が整えられていきました。

これまで文明の光を世界に照らしてきたイギリスやアメリカですが、彼らが世界の舞台から徐々に退いていく時代に突入しています。この大きな枠組みの中で、日本は日本のやり方で、中国は中国のやり方で進んできました。そして、英米が自らの価値観を他国に押し付ける時代も終わりを迎えつつあります。今後は、金融、通信、貿易、サービス業の規制や人権の定義などを自国の基準で考える時代が訪れます。
 
次に、鎖国が可能な地域とそうでない地域について考えてみましょう。アメリカ大陸は、大西洋と太平洋に囲まれているため、他の大陸と隔絶され、独自の進化を遂げてきました。そのため、鎖国が可能な地域と言えるでしょう。一方、ユーラシア大陸やアフリカ大陸は、多くの国が隣接し混在しているため、鎖国が難しい環境です。ユーラシア大陸を制した者が世界を動かすと言われています。例えば、地政学者マッキンダーの理論では、海に接していない国々を支配した者が、ユーラシア全体、さらには世界の覇権を握るとされています。
 
これからの世界の歴史は、アメリカ的な考え方から脱却し、新たな視点で展開されるでしょう。特に、日本やイギリスのように、特殊な地理的条件を持つ国々は、独自の立場を持っています。ユーラシア大陸や東南アジアの国々とは異なる視点から、世界を捉える必要があります。太陽を正面に見るユーラシアと、星を背景に持つアメリカという対比がその象徴です。
 
ロシアにとって日本が重要な存在である理由も理解しておきましょう。日本は、ロシアや中国、インドにとって「漬物石」のような存在です。ロシアは自国を守るために長い歴史を持ち、ヨーロッパはその知恵を巧みに利用してきました。
 
最後に、世界に散在する難民問題にも目を向けましょう。中国やインドは、わずか2人のリーダーによって25億人という膨大な人口を抱えています。世界の人口や経済の問題は、最終的にこの2国に行き着きます。加えて、植民地支配で最も被害を受けた地域であるアフリカの影響は、今もなお続いています。そして、日露間で解決すべき北朝鮮問題もあります。中国や韓国、アメリカが介入しても、根本的な解決には至りません。東アジアの安定には、日本海を中心に新たな枠組みを描くことが求められます。




講師 藤原 直哉 先生
経済アナリスト 株式会社あえるば 取締役会長
特定非営利活動法人日本再生プログラム推進フォーラム 理事長
独立系シンクタンクとして「経済」「政治」「国際情勢」「組織のリーダーシップ」に関する独自の分析を行っているほか、小田原市および長野県南信濃遠山郷に拠点を構え、ロハス体験学校の主催、コンサルティング、社内教育、講演、執筆活動を行っている。また、藤原直哉が執筆する「ワールドレポート」を毎週発行。その他、社会人学校「藤原学校」を東京で月2回開催し、全国各地で「藤原塾」も開催している。さらにNHKラジオ第一放送の「ビジネス展望」、山口放送ラジオの「情報ダブルクリック」にレギュラー出演、NHK文化センター青山教室では「世界の中の日本経済」というタイトルで時局分析を行っている。
このほか以下の職責を兼務している。
・渋谷ソーホーバレーコモンズ(SVC)推進協議会会長
・有限責任事業組合藤原KAIZEN研究会顧問
・ワシントン大学経営大学院名誉卒業生
・ワシントン大学経営大学院キー・パートナー
 
 

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